「ぶどう山椒の陽」開発秘話-2-
〜商品実現までのプロセス〜
コンセプト設計とチャネル検討より商品の方向性が決まりました。カレーの幅広い市場から山椒カレーへの期待は膨らみましたが、ここでレシピ開発班は思わぬ壁に衝突しました。
山椒カレーのコンセプトを製造者に伝え実現してもらうことになったのですが、ゼミ生内でコンセプトの共通認識にズレが生じていました。確定したはずのコンセプトをそれぞれが明確な言葉で表現できなかったのです。
そして、もう一つ立ち止まったことがぶどう山椒の使い方。ぶどう山椒の実は緑の皮に黒い種が包まれています。
レシピ開発班は、インドの「スタータースパイス」というスパイスカレーの調理法に基づき、山椒の黒い種部分を油に移して具材を炒めるという方法で山椒カレーの試作に挑みました。
結果から言うとほとんどが失敗。スパイスの持つ薬効成分や香りを上手に移せたかと思いきや、具材に種の色だけが付着し味が移っていなかったり、種を炒める量や時間が足らず完成したカレーから山椒を感じられなかったり。山椒の皮を入れる方がより辛みや痺れから爽やかな香りを引き出すことができたのでは…?皮と種を分けることなく一緒に炒めた方が時短で手間なくできるのではないか…?と、考えは次から次へと浮かんでくるものの短期間で種の可能性を切り開くことは厳しく、今回はカレーの製造者にお任せすることにしました。(未活用資源の種の利用については今後引き継いでくれる後輩たちに任せたいと思います。)
「マルシェで販売する日時は絶対に変えられない。」と、当然ながら厳しい現実を教授から聞いていました。与えられた期日に間に合わせるにはここで立ち止まっている時間がないのは理解しているけれど、山椒の新たな可能性を考案することも私たちが果たすべきことだったので、時間が足りず諦めてしまった部分は正直悔しく感じています。
しかし、限られた時間の中で私たち学生がゼミのプロジェクトとしてできることに最善を尽くし、最高の山椒カレーを完成させることが最も重要だと思いました。
何とか自分たちの軸を立て直し、
改めて「自分たちは誰に・何を届けたいのか」を明確化させました。
〜カレーの誕生秘話〜
今回のコンセプトで決定したのが
「主婦に山椒の可能性を知ってもらうカレー」。
私たちが考える「主婦」のイメージは、家族想い、家事育児で忙しい、料理にこだわりたい、健康志向など。「主婦」と言っても世の中には様々な「主婦」が存在していて、それぞれの生活スタイルがある。ぞれぞれの「主婦」の価値観と食シーンに合わせた3種のカレーを実現することになりました。
これはあまりゼミ生にも話していなかったのですが、実は開発中に、私たちの定まっていない軸と方向性を見た教授から「3種のカレーを新しく開発するのは時間的に厳しいのでは?」「今回はとりあえず試し販売だから1種でもいい」と、本当に山椒カレーを形にできるのか心配されていました。
しかし、レシピ開発班は過去に考案したレシピが白紙になったり、コロナによる自粛期間の間は各自家で試作を繰り返すだけになったりと、本格的に開発に取り組める機会を何度も逃してきました。
だからこそ、やる気は十分にあって、困難を乗り越える準備も整っていました。
私たちにとってゼミで開発に取り組めるのは今回が最初で最後のチャンスなので、心配していた教授にも正々堂々と「3種のカレー必ず実現します。」と伝えました。
もう一つ秘話として、山椒カレーの種類。
実は、はじめから3種と決めていたのではなく候補として赤色・緑色・黄色・茶色・白色・オレンジ・黒色と、実現した3種を含めた7種上がっていました。
色ごとに具材や味、山椒との相性を考案して製造の方に試作をお願いしていました♪
そこからゼミ生で試食を繰り返し、細かい食感や山椒の感じられ方が、設計したコンセプトやターゲット、食シーンに合っているか何度も確認しました。
そうして、オリジナルカレー「山椒の陽」誕生に近づいていきました!
↓誕生秘話3へ続きます
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